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「見て見て賢くんっ」
京がはぁっと大きく息を吐いてみせた。
冬空の下、京の吐いた息は白くぼやけて消える。
賢は楽しそうに息を吐く彼女をじっと見つめた。
「すごいよねっ、面白いと思わない?」
はぁっとまた息を吐く京を見て、賢は微笑を浮かべた。
「…そうだね」
「冬ってさ、ホント色んなものが真っ白になるよね!ほら、これ見て」
京がつまみあげたものは、1枚の枯れ葉。
その葉は霜で白く縁取られている。
「…白いね」
「白いよねー。雪が降ったりしたら文字通り白一色だよね」
氷も白っぽく見えるし、土の下の霜柱もかなり白いし、ううん、あれはどっちかと言うと透明だね、でもやっぱこの寒さならではだよね、としゃべり続けていたが、
ふと、彼女は口をつぐんだ。
「…京さん?」
「賢くんさ、」
少しだけ不満そうな顔をして。
「興味ない?」
「えっ…と」
「こんな話はつまんない?」
ちょっと視線をさ迷わせて、賢は困ったように笑った。
「ごめん、当たってるけど、違うよ」
刺すように冷たい外気のせいで、しゃべるたびに息は白く霞む。
「僕は、“白”よりも、京さんの頬の“赤”が気になってたんだ」
この寒さならではの色には違いないんだけど、と言うと、京はぼっと紅潮し、拗ねたように言い返した。
「賢くんだって赤いよっ」
一瞬の間のあと、2人は溶けるように笑った。
ひとしきり笑ったあと、この寒さだから、コンビニで肉まんでも食べようか、と賢が提案して。
すると、京はじゃあ愛と純真のアイマートへ行きましょう、と言ってたので、賢は思わず微笑んでしまった。

それは、とある冬の物語。







→賢 京 む ず い ・・・!