:::系:::
「ねぇ、太一は?」
不意に尋ねられ、少しどきりとする。
この場合、どきりとしたのは愛しい彼女から声をかけられたから、というよりは唐突に声をかけられたから、という理由の方が大きい。
「えーと、何の話だっけ?」
「もう、聞いてなかったの?志望系統の話よ」
あぁ、そうだっけ、と太一は呟く。
空は小さく溜息をついた。
「太一の志望は?私は文系だけど」
ヤマトくんは理数系よ、と空から追加情報を提供される。
何となく太一は天井を見た。
3年生になり、太一達は次の進路について悩み始めなければならないのだ。
彼女と離れてしまうかもしれない、という思いだけが太一の頭に付きまとう。
「んー…」
少し考えて、太一は呟いた。
「体育会系」
一瞬の間ののち、
「もう、ふざけてるの?真面目に答えてよ」
空が呆れたような困ったような、たしなめるような声色で言った。
太一のこの答えがあながち間違いではなかった事が分かったのは、太一が推薦でサッカー名門校に合格した時の事だった――
→3年生の皆さんへ。進路について悩むだろうけれど、納得いく答えを見つけて下さい。