:::ハーレム:::
「たまにはいいかもなぁ」
ぶつぶつと呟きながら、心なしか薄笑いを浮かべている太一。
「何?何の話?」
ひょこっと空が顔をだし、太一の隣に座った。
「いや、さっきダチと話ししててさ」
「ふーん、それで?」
「ハーレムもいいよなって」
一瞬言葉につまる空。太一は続ける。
「キレイで優しいお姉サンがたくさん、だしな」
でも、そーゆーのってやたら甘ったるいんだろうな、と言いつつも顔がゆるんでいる太一に、空はムッとして立ち上がった。
「…空?」
「どーせ、」
キレイでもないし、優しくもないわよ、と空は早口で言うと、その場を立ち去ろうとする。
太一は慌てて空の腕を掴んだ。
「ちょっと、待てよ」
「やだ、離してよッ!バカ、すけべっ!」
「ッ、すけべって、お前なぁ…;」
空と同じく立ち上がった太一は参ったように呟いた。
「は〜な〜し〜て〜!」
ぶんぶんと腕を振って太一の拘束から逃れようとするが、太一はいともたやすく空をひっぱりよせ、そっと抱きしめた。
「バカ、離してってば!」
「俺がいつハーレムが好きだって言った?」
太一は呆れたように言う。
「だって…!」
「確かにさ、俺だって男だから、ハーレムなんかいいなって思う事があるけど」
まだ、ぷっと頬をふくらませている空を抱く腕を少しだけ強くして。
「でも…俺は、」
空の耳元で囁く。
「そーゆー事で妬いてくれる空が、たった一人、いればいい」
「…、ばか…」
→健全なんだか何なんだか。でも太一には空を大事にしてもらいたいものデス。