:::夏の恋:::
「空」
「なぁに、太…」
目の前に黄色が広がった。
生花のつんとした匂い。
「わ」
「それ、空に」
大輪のひまわりを目の前につきつけた太一。
空は目をぱちぱちさせながら受け取る。
今日は何かの記念日だっただろうか。
「何で?」
「何でって、意味なんかねえよ」
へらっと笑って続けた。
「空に似合う花を見つけただけ」
おさななじみの男の子。
ばかで、まっすぐで、不器用。
「太一」
「ん?」
その言葉は告白じみた響きを持っていたから。
「太一は、太陽みたいね」
ひまわりを惹きつけてやまない。
→太空と言えば夏の青空と太陽と向日葵、って考える人は多いと思います。 …多いよね?